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甘い希望

髪の長い ひげ面で 黒メガネの男がいる

手指にはドクロの指輪等の銀色とタトゥーと思われる文字記号の黒が入り混じっている

とても社会人と呼ぶには程遠い外見をしている男が

ただそこで時間の流れと戦うかのように静かに佇んでいた



時計の針を20分前に戻して見よう


ここは近所の某有名牛丼チェーン店

男は朝定食を食べるためだけにワンコインのみポケットに忍ばせてやって来た

店外の券売機にてソーセージエッグ定食の券を買おうとしていた

しかし男の500円玉は何度券売機に入れても戻ってきてしまう

券売機の左上の【よびだし】と書かれたボタンを押してみる

すると防犯装置のようなブザー音が鳴り響き、券売機は【使用中止】と表示された

しかし待てど従業員がやってくる気配などしない 不快なブザー音が鳴り響くだけ

業を煮やした男は店内に入り


『あのー 食券買えないんだけど・・・』


と声をあげた

それに対し 『またか』 

というような表情で店長らしき男がいかにもバイトっぽい若造にアゴで指示をした

やれやれという感じのけっして機敏には見えないバイトの若造が無言で男の下へやってきた

特に謝罪の言葉もなしだ

その時点で男の苛立ちが手に取るように分かった しかし男は黙っていた 

男は見かけによらず愛妻家でまさに昨晩

『これからは怒らないように意識して生きる』

と愛妻に宣言、約束をした矢先であった

それまでの短気な性格を自ら反省し生き直そうという姿勢の決意表明だった


バイトの若造がなにやら券売機内部のボタンを押すと

ギーージジジジ・・・ という機械音とともに印字された紙が出てきた

恐らく何らかのエラー表示が書かれたものなのだと思った

それをしゃがんで読んでいるバイトの若造

こちらは一応空腹で来ているのですが

ウソでもこんな時は申し訳なさそうに俊敏に行動してもらいたいものだ・・・


そしてバイトの若造が男に顔を向け気持ち引きつった笑顔で信じられない質問を投げかけた


バイト『お砂糖入れようとしましたか?』
 


この一言をきっかけに男の怒りが飽和点に達した

『はーっ?!アホかっ?!誰がそんな事するかよ テメーぶっ○すぞ!』

なぜ砂糖を券売機に詰め込まなきゃならんのだ?

いくらアナーキーに見えようが男にとって何の利にもならない小学生以下のイタズラを

この男ならやるのではないかと思ったというのかこいつは

しかもわざわざ砂糖は家から持参したというのか? 


バイトは男の鬼のような形相にたじろぎその後質問も出来なかった

結局食券は買わず店内で現金で支払うことになった

そしてその後バイトの若造は2度と男の前に姿を出さなくなっていた

多少なりと愛妻への罪悪感があり大事にはいたらなかったのは幸いだった


男はあの食券機の機能について少し考えているようだった

砂糖を詰め込まれたというエラーをコンピューターが認識したというのか

変な話【塩】とか【小麦粉】とかでも分かるのか 

テクノロジーの進歩は凄いな

きっとそんなことを考えているに違いない

男は朝定食を食しながらブツブツとつぶやいていた と、ある瞬間


はっ


と、何かに気づいたような表情をし箸が止まった



一体どうしたというのだろうか・・・



『お砂糖いれようとしましたか?』

と聞こえたあのセリフ 

ひょっとしたら・・・・・・・



『お札を入れようとしましたか?』


だったのではないかと?・・・・・

そう仮説を立ててみるとなんだかつじつまが合うような・・・

おもむろに声に出して比較してみると・・・驚くほど似ているではないか・・・

しかし『お札を入れようとしましたか?』の問いにとる態度ではなかったし

バイトくんにとってはかなり危険な中年親父に見えたことだろう



いやいや、そんなはずはない 

最初っから態度の悪い店だったじゃないか

そうだ ヤツはハナっから人を小バカにしていた  

やっぱり絶対『砂糖』って言ったよ


いくら朝の低血糖時だったからといって

ちょっと滑舌の悪いバイトの青年だったからといって

聞き間違えるはずがない 


事が『砂糖』だけに甘い希望が湧き出すのであった


そうだ アイツは確かに『砂糖』って言ったんだ

言ってなきゃ困る

男が困る 

非常に困る・・・・・



(今更なんて声をかけようか・・・・・・・・・・・)




男は真実をなかなか受け入れられないまま

時間だけが流れていくのだった

その後あの男はどうしたのだろう?

自分自身との戦いにケリをつけることはできたのだろうか

今となっては知る由もない・・・・・




-------- 完 ----------















PS


 答え 『あ、さっき勘違いしちゃった ごめんね ごちそうさま また来るね』
 
 (3・5秒内で、これ以上ない素敵な笑顔で)








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男シリーズ
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日記
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